東京不幸中毒

幸せを追っかけても不幸にしかならなかったので、不幸を追っかけてみることにした

2016-01-01から1年間の記事一覧

綺麗な言葉で隠すこと --いい女/男--

肩が震えて、朝の空気がやってくる。 ポリエステル生地のブランケットに羽毛布団を重ねて、一晩中取り合いをする。暖房がタイマー通りに切れる。 誰と掛け布団を取り合う夜を過ごそうが、せめてブランケットだけでも私に譲ってくれよと思う。譲ってくれる男…

汝、自己の拡散を食い止めよ。

背中を梳くような浮遊感。 華々しい引退という形で、2年くらい与えられ続けた居場所を失った。居場所にとらわれることは辛くもあり幸せなことでもあると、改めて痛感する。 居場所を失った今もはや私が何者であるかは宙に浮き、所属も肩書きも一切無く、私…

4回目の冬

他人と共有する掛け布団が恋しくて、心の震えないセックスをする。 この季節が大嫌い。 薄靄で遮られた弱々しい太陽の光も、散りきった街路樹も、さびしい音をたてる北風も、ぜんぶぜんぶ切り取ってしまいたい。 あまつさえ心の中は埋められない寂寞感でいっ…

不幸になりたければ酒を飲め

酔った頭で何かを決めたらそれは大抵間違いだ。 二日酔いの重い頭で相手の怒った顔を見る。「ああ、終わった」という乾いた絶望感。酔っていた頃が嘘みたいに、いやに冷静になる時間。まだ太陽の昇らない冬の朝五時の、ナイフみたいな風が頬を切りつける。 …

グッド•モーニング•シガレッツ

私は起き抜けに煙草を吸う。 iphoneの「アラーム」の文字、窓の向こうの白い光とシーツにおちた陰をまだ霞んだ目で眺める。そしてあたたかい毛布の砦で一度筋肉を引っ張る伸びをして、ライターの火をつける。百合が開ききったような形のガラスの灰皿に灰を落…

不幸中毒者の解説書

「居場所」。 不幸中毒者の人生を最高につまらなくさせる究極tipが「居場所」を手に入れることだって、今日、気づいた。 自分の存在が無条件に肯定される場、自分の「居場所」という概念。主に人生を平穏と安定に満ちた、起伏のないものにしたい人たちが探し…